『120%COOOL』
初出誌 各項目参照
<単行本>
幻冬舎 1994年(平成6年)3月27日発行
249頁/ISBN:4-87728-005-7
あとがき 250〜253頁
<文庫本>
幻冬舎文庫 1997年(平成9年)6月25日発行
213頁/ISBN:4-87728-474-5
あとがき 214〜216頁 解説/大沢在昌
1994年、幻冬舎の第1回書籍出版の6冊のうちの1冊となる短編集。『群像』『野性時代』などの文芸誌に掲載された6作品と、角川書店より出版された2冊のオムニバス小説集のために書き下ろされた2作品、さらに、この本のために書き下ろされた作品の計9本の短編小説が収められている。「24・7」から表紙のデザインを担当している田島照久の独特なカバーデザインもファンの間で話題になった。

「唇から蝶(Butterfly Was Born)」 初出誌 『群像』 1993年1月号36〜46頁
妻の唇が青虫だという男の話。青虫というのはたとえなのではなく、本物の青虫なのだ。全体的に村上春樹的な世界に共通したものがある。

「彼女の等式(Her Equality)」 初出誌 『小説現代』 1993年2月号114〜124頁
売れない漫画家を彼氏に持つOLの話。彼女は彼の原稿を出版社に持ち込む。そして、その出版社の編集長と等式について話す。

「待ち伏せ(Waiting On The Corner)」 初出誌 『文學界』 1993年1月号100〜109頁
水商売の世界になかなかなじめないながら他に取り柄のない真理子は、六本木の店から赤坂の店に移ってきた。そこでウェイターのケンと仲良くなる。

「ガリレオの餌(Galileo's Bait)」 初出誌 『小説現代』 1993年7月号50〜59頁
ハードボイルド作家の木島龍之介をめぐる話。この木島のモデルとなったのは詠美と仲の良い北方謙三ではないかと思われる。ちなみに文庫版の解説は同じハードボイルド作家の大沢在昌である。

「NEWSPAPER」 初出誌 『野性時代』 1993年7月号50〜59頁
既婚者である「私」はJという別の男と恋に落ちた。しかし、しばらくたったある日、「私」はJの部屋で髪留めをみつけた。

「雨の化石(Fossil Of Raindrops)」 初出 『贅沢な恋愛』1990年9月
オムニバス小説集『贅沢な恋愛』のために書き下ろされた短編小説。雨宿りをしている時に美しい女性と偶然知り合った「ぼく」の話。情緒あふれる詩的な作品である。

「DIETCOKE」 初出 『贅沢な失恋』 1993年4月号
オムニバス小説集『贅沢な失恋』のために書き下ろされた短編。ハンバーガースタンドで知り合った良樹と優子の恋の始まりと終わりを描く。

「R」 初出誌 『文學界』 1994年3月号142〜151頁
お互いのことをペプシとコークと呼び合っているカップルの話。R指定映画、X指定映画といった成人向きの映画の呼び方がモチーフとなっており、映画好きの詠美ならではの話である。

「120%COOOL」 書き下ろし
本書のために書き下ろされた短編小説。ニューヨークに滞在する作家の話。実話にもとづいた話と思われ、N.Y.で2人のフランス人男性と知り合う話は、エッセイにも書かれている。